麗しき宴

美も知も酔も、一生

マスカット・ベーリーAの魅力は。。。

日本ワインはこの10年位で本当に変わりましたよね。
私も昔はあんまりよいイメージがなくて、美味しいとは思えずに離れてしまいましたが、3年くらい前から随分美味しくなったんだなぁ、ということに気づいて以来、結構飲むようになりました。

日本ワインのお話を聞ける講座があったので以前受けたことがあります。全部で3回。一回目はマスカット・ベーリーAについて。ゲストは山梨のダイヤモンド酒造、雨宮吉男さんでした。

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つい「マスカット・ベリーA」と言ってしまいがちですが、本当は「マスカット・ベーリーA」と、べー、をのばすのだそう。ベーリーAの生みの親である川上善兵衛さんもそう呼んでいたらしいので、私も意識的に使うようにします。

国際ブドウ・ワイン機構(OIV)が「マスカット・ベリーA」を登録認定 | NOMOOO PRESS

甲州に続いてOIVで認定されたのでEU諸国へ輸出する際にラベルに品種を記載できるようになりました。ベーリーAの需要がヨーロッパにあるかどうかは別として、ちょっと嬉しいニュースでした。

雨宮さんはブルゴーニュで醸造技術を学んだ方です。2001年にピュリニーモンラッシェ、翌年にはシモンビーズで修行。(シモンビーズは、私がブルゴーニュを好きになったきっかけの思い入れのあるワイナリーなのでなんだか勝手に嬉しい)
そんなせいもあって雨宮さんは単一品種にこだわっています。でも日本のワイン造ってる人ってボルドーで学んできた人が多いんですってね。だからブレンドをすることに抵抗がない。醸造スタイルとしてボルドー。。メルローとか、そういうものをイメージして造っている。だから雨宮さんのようなブルゴーニュ的な方は割と珍しいみたいです。

アリゴテを代々つくるフランス人をみて、シャルドネの方が華もあるし、何故あえてアリゴテを造り続けるんだろうと・・思っていたそうですが、代々の継がれてきたものを大切にしている、伝統とかですかね。そういったフランス人の姿勢に心を打たれた、とのことでした。だから自分もベーリーAを大切にしたいと。

しかしベーリーAは甲州に比べて30%くらい原料が安く、農家の人も気持ち的に頑張って育てよう!とする雰囲気になれない事実もあるとか。。
それにベーリーAは資料が基本的にないので色々な面でよいベーリーAをつくるのは大変みたいです。

雨宮さんは2003年からベーリーAの仕込みをはじめました。2004年、2009年、2010年は良くて、2011年はとても厳しかったそう。

テイスティングもありました。ベーリーA6種類です。4つは他社のでダイヤモンドは「ますかっとベリーA プラス2011」と「ますかっとベリーA Y2 Carre2010」の2種類。前者は果実味が豊かです。酸もあります。結構すっぱい。草っぽい感じ。
後者は濃い色調でこっくりしてました。とても美味しかった。6つの中でもずば抜けて美味しかったです。っていうか、いままで飲んだベーリーAの中でも一番だった。さすが雨宮さんこだわりの品種だけあって、他社と違う輪郭を感じました。雨宮さんのワイン哲学が見えてくるワインでした。

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その他の4つ。錦城ワイン・イケダワイナリー・旭洋酒・敷島醸造です。

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イケダワイナリーは温度が上がるとベーリーAの特徴であるフォクシーフレーバーが出て来ました。講師の方いわく、ふかしたお芋みたいな、香りです。
粉っぽくざらつきがありますが酸味があるので熟成に耐えられそうとのコメント。樽は使っていません。勝沼のワイナリー。
他のベーリーAもそれぞれ特徴があって面白かった。

雨宮さん、情熱的で饒舌、お話興味深いことだらけでした。たくさん面白い話聞かせてもらい大満足。

雨宮さんの目標はモルゴン、マルセル・ラピエールとのこと。やはりそうなんだなぁと思いました。2010年に亡くなったマルセル・ラピエールは自然派ワインの巨匠。私も一度モルゴン、飲みましたが。。。経験不足だった頃なので正直あまりその偉大さが分からず~。今飲んだらまた違うかも。

 

ドメーヌ M・ラピエール モルゴン 赤 2012

ドメーヌ M・ラピエール モルゴン 赤 2012